SDGs5 「ジェンダー平等を実現しよう」の現状と取り組み、私たちにできること

あなたは、「女の子なんだから、大人しくしてなさい」「男の子なんだから、泣かないの」とやりたいことを止められたりしたことはありませんか?大人になっても、「女なんだから、片付けて」「男なんだから、おごってよ」と聞いたこと、言われたことだってあるでしょう。

このような先入観は、日本はもちろん世界でもジェンダー差別を生んでいます。

ジェンダーとは、”社会的・文化的に作られる性別”のことです。

「女性は、家事をやらなければいけない。男性は、家族を養わなければいけない」など、社会全体が昔からの価値観や慣習に囚われていることで、自由に働く機会を与えられずに、差別に苦しんでいる人達がいます。

途上国に至っては、たった12歳で結婚をしなければならない女の子たちもいるのです。

SDGs目標5では、女性の潜在能力を十分に発揮できる未来を掲げています。女性によるエンパワーメントを促進することは、経済の成長にも繋がると考えられているのです。

それでは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について詳しく見ていきましょう。

この記事の監修者

阪口 竜也


阪口 竜也
フロムファーイースト株式会社 代表取締役
一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。環境や貧困といった社会問題をビジネスで解決することに挑戦している。

公式サイト

目次

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?

SDGs目標5は、”ジェンダーによる差別について”を議題にしています。ジェンダーに関係なく、誰しもが平等な機会を得て、自分の能力を発揮できる社会を作ることが目標です。

世界では、女性は家族の世話をして結婚するのが当たり前と、幼い内に家族から結婚を強要されて、教育さえも受けられずに生活をしている地域があります。実際に子供たちの支援を行っている日本ユニセフ協会から、以下のように発信されています。

“世界では、約7億5,000万人の女性と女の子が18歳未満で結婚しており、そのうち3人に1人以上(約2億5,000万人)が15歳未満で結婚している。”

日本ユニセフ協会

さらに、女性性器切除(FGM)の慣習が残る地域があります。こちらも日本ユニセフ協会では、以下のようにデータを公開しています。

“世界30カ国の少なくとも2億人の女の子たちや女性たちがFGMを経験している。うち、半数以上が3カ国(インドネシア、エジプト、エチオピア)に集中している”

日本ユニセフ協会

世界にはまだまだ、女性への差別や偏見が多く残っているのが現状です。

SDGs目標5を構成する9個のターゲット

SDGs 目標5のターゲットは、どの課題に対してどういう解決をしていったらいいのか、より具体的な1〜6の達成目標とa〜cの実現方法、合計9個のターゲットで定義されています。

あらゆる場所で、すべての女性・少女に対するあらゆる形態の差別をなくす
“世界にはまだまだ女性や女の子に対する差別が残っているせいで、学校に行くこともできない子ともがいるんだって!”

人身売買や性的・その他の搾取を含め、公的・私的な場で、すべての女性・少女に対するあらゆる形態の暴力をなくす。

”縫製工場で働かされたり、家業を手伝わせさせられたりと本人たちが望まないことを強要する社会なんて、悲しすぎる”

児童婚、早期結婚、強制結婚、女性性器切除など、あらゆる有害な慣行をなくす。
”10歳の女の子が無理やり結婚させられた相手は40歳の叔父さんなんてこともあるんだって”

公共サービス、インフラ、社会保障政策の提供や、各国の状況に応じた世帯・家族内での責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識し評価する。
”育児・介護・家事労働が評価される社会になって欲しいですよね?

政治、経済、公共の場でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する。

”世界の女性の国政参加率はたったの25.5%。まだまだ女性は活躍できる!”

国際人口開発会議(ICPD)の行動計画と、北京行動綱領およびその検証会議の成果文書への合意にもとづき、性と生殖に関する健康と権利をだれもが手に入れられるようにする。
”避妊具が届かなかったり、性の知識がちゃんと教えられてなかったりする地域も”

女性が経済的資源に対する平等の権利を得るとともに、土地・その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源を所有・管理できるよう、各国法にもとづき改革を行う。

”女性だって不平等がなければ、もっと活躍できるのでは?”

女性のエンパワーメント(※8)を促進するため、実現技術、特に情報通信技術(ICT)の活用を強化する。

“ソーシャルメディアやオンラインレッスンを活用して、能力開発もできる時代!”

ジェンダー平等の促進と、すべての女性・少女のあらゆるレベルにおけるエンパワーメントのため、適正な政策や拘束力のある法律を導入し強化する。

”女の子が自由に学べる環境や、女性が働きやすい環境がもっと良くなると良いよね。”

主に女性の立場を改善し、社会への参画を重視した内容です。女の子が不平等に扱われている問題や、女性が法律によって差別されている問題に目を向け解決を目指します。

それでは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」が必要となる理由について詳しくみていきましょう。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」が必要な理由とは?

持続可能な開発目標SDGsでは、全ての人が健康で平等に権利を得る社会を目指しています。世界には、女性に対する不平等な社会的慣習などが根強く残っていることが、ジェンダー平等が必要となる理由のひとつです。

あなたは、一体どんな社会的慣習が世界に残っているか知っていますか?

ここでは、世界や日本でどのようなジェンダーの差別があるのか、現状を把握していきます。

まずは、ジェンダーについて考えてみましょう。

そもそもジェンダーとは?

ジェンダー(“gender”)は、日本語では「社会的性別」と訳されます。社会的・文化的な性別を表すときに使われる単語です。性別を表す言葉として「Sex」もありますが、こちらは、より生理学・生物学的に表現するときに使います。

最近は「トランスジェンダー」「ジェンダーフリー」といった言葉をニュースなどでも耳にすることも多くなってきました。日本でも男女差別の問題などが度々ニュースで取り上げられています。

長い間培ってきた慣習の全てが悪いわけではありませんが、社会的な性別によって役割や行動、考え方、見た目などが制限されてしまうことで、苦しんでいる人々がいることを忘れないでください。

世界の中でも、まずは途上国の現状について詳しく見ていきましょう。

途上国のジェンダー平等の現状

一例として途上国であるパキスタンの現状をご紹介します。

以下はパキスタンの20〜24歳の若者が受けた学校教育の平均年数を表したものです。パキスタンでは、ジェンダー・居住地・所得によって受ける教育レベルが違います。

出典:ユネスコGlobal Education Monitoring Report 、World  Inequality Database  on Education(WIDE)2013年 DHS データ

世界子供白書2016では、以下のようにも発表しています。

小学校に通うことさえできない子どもは、アフリカ地域だけでも約3,300万人(世界人口の約0.4%)。世界全体では、約5,900万人(世界人口の約0.7%)にも及びます。特に途上国の農村部では、女の子だからと学校に行かせてもらえない子どもが多いのが現状です。

参考:世界子供白書2016

貧困地域の農村部では、女の子を早期に結婚する慣習が残っています。家族が女の子と引き換えに、金銭に相当するものを得るためでもあり、貧困が原因となっている問題です。

次に地域別でのジェンダー差別の認識について見ていきましょう。

世界には、「大学は男の子にとってより重要である」「男性のほうが政治的リーダーに向いている」など、女性に対する男性の差別的態度が残る地域があります。アフリカやアジアなど発展途上国では、半数以上の人が男性のほうが優位と考えているのが現状です。

さらに、アフリカ地域や一部のアジア諸国には、”児童婚”や”女性性器切除(FGM)”といった古い慣習が残っています。

どのようなことが行われているのか、実際の証言などを参考にしながら見ていきましょう。

児童婚

児童婚とは

18歳未満の結婚、またはそれに相当する状態であることを言います。児童婚は、家族によって強制的に結婚させられることが多いです。家族が、自分の子供と引き換えに金品を得ることを目的に結婚を進めることもあります。

子供の支援をしている”ユニセフ協会”では、アフリカでの児童婚の増加にも着目しています。

“アフリカでは、1億2,500万人の女の子と女性が18歳未満で結婚している。

アフリカでは、3人に1人の女の子が18歳未満で結婚しており、約10人に1人が15歳未満で結婚している。”

日本ユニセフ協会

未成年での結婚は、妊娠・出産に伴う妊産婦死亡のリスクが増加します。また、暴力や虐待、搾取といった被害も報告されているのが現状です。結婚すると連れて行かれた家で暴力を受けるなんてことも少なくありません。

児童婚は、主に貧困家庭・地方(農村部)で多くみられる傾向です。しかも、その多くが女の子。男の子が幼いうちに結婚させられることもありますが、女の子はその約8倍近い人数が結婚させられています。

さらに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、学校閉鎖や地域サービスの中止、親の死去などで、児童婚のリスクが高まるだろうとユニセフ協会から報告がされています。

児童婚がどのように少女たちを苦しめているのか、その声に耳を傾けてみましょう。

参考:日本ユニセフ協会”世界子供白書”
『COVID-19:児童婚の進展への脅威(原題:COVID-19: A threat to progress against child marriage)』

児童婚に苦しむ人たちの証言

◯小学校に2年しか通えずに結婚した女の子アミナさんの証言

12歳で結婚したアミナさん(15歳)。ムスタファくん(3歳)とハルンくん(1歳)と一緒に。

”「小学校には2年しか通っていません。家族で唯一の女の子だったし、長女だったから、やめざるをえませんでした。料理をしたり家事をしたりしてお母さんを助けなければならなかったのです。学校をやめてすぐ、お母さんは私を結婚させました」とアミナさんが言います。”

”「家族がわたしに結婚するよう言ってきた時、わたしは何も言えませんでした」とアミナさんは続けます。「わたしが何か言ったところで、お母さんは受け入れなかったでしょう。だから、わたしは黙って従い、結婚したのです。お母さんたちも、かつてそうして結婚してきたのですから」”

チャド 結婚で夢を奪われる女の子たち 児童婚の慣習を終わらせるキャンペーン

◯14歳で結婚し、母になった少女チャドさんの証言

娘のダビーちゃんを抱えるサイラさん。14歳の時に結婚し、夫は仕事を探すためにマリを離れました。

”ここは、西アフリカ・マリの金鉱。娘のダビーちゃんを背負いながら腰をかがめ、ヒョウタンで作った容器で川底の泥をすくい上げ、そっと選り分けているのは16歳のサイラさんです。「つらいことには慣れています」と彼女は言います。

サイラさんが結婚したのはわずか14歳の時。その後、36歳の夫との間にすぐに子どもができました。この妊娠は、彼女にとってつらいものでした。妊娠が分かってから1カ月後、朝起きると、夫がいなくなっていることに気づいたのです。サイラさんの義父のウスマンさん(65歳)は、夫が赤道ギニアに働きに出たと教えてくれました。それ以来、サイラさんの夫からは何も連絡がない状態が続いています。

サイラさんは無事に出産し、赤ちゃんをダビーと名付けました。ダビーちゃんは病弱だと言います。”

西アフリカ・マリ 児童労働や早期婚 子ども時代を奪われた女の子たち

◯学校に通うお金がないと父親に結婚をさせられた、タンザニアのアニタさん(19歳)の証言

”アニタ(19歳)は、中学校2年生だった16歳の時に父親に強制されて結婚した。「私を学校に通わせるお金がない、と父は言いました。その時すでに持参金として牛を20頭受けとっていたのです。」”

逃げ道がない:タンザニアの児童婚と人権侵害

コロナ感染症の影響によっての児童婚の調査はまだ報告されていませんが、今後は増えてくる可能性があると懸念されています。

幼い子を抱えながらの家事労働に従事している少女たち、また、幼いうちに結婚しDVを受け続ける少女たちの願いは、安心して自由に生きたいということではないでしょうか?

児童婚をなくすためには、複数世代での貧困の連鎖などを断ち切る必要があります。女の子が教育を受けることで、栄養や衛生など自分の子どもたちを育てるための知識も身につきます。

児童婚によって、学校に行けないなど自由が許されない子ども達が、世界にはまだ数多くいることを忘れてはいけないのです。

参考:日本ユニセフ協会 児童婚

女性性器切除(FGM)

世界には、女性性器を切除する慣習がある地域があります。小さな女の子は、女性性器切除(FGM)を受けると大人の女性になれると教えられているのです。

母親たちは、その危険性や害を知っていながらも、強い社会的規範に影響され、娘にも受けることを止めさせることができません。

この痛ましい現実について、詳しく見ていきましょう。

女性性器切除の実態
女性性器切除(female genital mutilation)とは

アフリカや中東、アジアの一部の地域で行われている慣習です。一定の年齢になると女性の性器の一部を切除してしまいます。主に女性の処女性や純潔、貞節を守るために行われており、宗教上の義務だと主張する団体もあるほどです。

麻酔などは使わずに行われることが多く、切除後は多くの女の子が感染症や不妊、死のリスクなどにさらされています。

この慣習の始まりは、3000年も昔に遡ります。祖母から母、娘へと伝え続けられた言い伝えは、思いのほか強制力が強く、未だに娘に受けさせたいと考える母親もいるのです。

ある一部の地域では、女性性器切除(FGM)の医療化さえ進んでいます。医師が施術するから安全だと主張していますが、何も知らない女の子に受けさせることは、人権の侵害であることに変わりはないのです。

上記の表は、国別に女性性器切除(FGM)が行われている比率を現したものです。

女性性器切除(FGM)の慣習は、ブルキナファソやリベリアなどのアフリカや、エジプトなどのアジアの一部の地域で行われています。1980年代よりその数は少なくなっているとはいえ、まだ女性の半数以上が施術を受けている地域が残っているのが現状です。

日本ユニセフ協会の発表によると、未だ世界30カ国で女性性器切除(FGM)の慣習は残っており、2億人もの女性と女の子が女性性器切除を受けています。そのうち15歳未満の女の子は、4,400万人にも上るのです。

何も知らないうちに連れて行かれ、女性性器切除(FGM)受けさせられるなんて怖いとしか言えません。

参考:日本ユニセフ協会女性性器切除(FGM)

現在は、国連(UN)が2月6日を「女性器切除(FGM、女子割礼)の根絶のための国際デー 」に定めるなど、世界各地で女性性器切除(FGM)の反対を訴える活動が行われています。

ブルキナファソやエジプトなど女性性器切除(FGM)が行われている国では、女性だけでなく、男性たちも女の子たちへのこの慣習に否定的で、アフリカでは反対運動や慣習をなくそうと様々なコミュニティが活動を続けています。

すでに、ケニア・ウガンダ・ギニアビサウ・ナイジェリア・ガンビアでは、女性性器切除(FGM)を違法とする法案を可決するなど、国全体で、女性性器切除(FGM)の撤廃に取り組み始めています。

女性性器切除(FGM)は、昔からの慣習だからという理由で認めるには、あまりにも危険な行為であり、女性への差別的な慣習だと認識されているのは明らかではないでしょうか。

さらに現在の傾向が続けば、2030年までに1億5,000万人(世界人口の約1.9%)もの女性(15歳〜19歳)が女性性器切除(FGM)を受ける見込みがあると、日本ユニセフ協会は発表しています。

参考:UN Women世界子供白書2020ユニセフ協会

それでは、実際に女性性器切除(FGM)を受けた人たちの声を聞いてみましょう。

女性性器切除の実際の証言

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンは、子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を目指して活動をしている団体です。

各地の現状を訴えるために動画を配信しています。その中から、女性性器切除(FGM)についての動画を見てみましょう。

幼い女の子が両親に進められて受ける女性性器切除の現実

ソマリアで生まれ育ったソフィアさんは9歳で女性性器切除の施術を受ける

4歳の女の子が命を落としたことがきっかけでギニア国内では反対運動が始まる

◯エチオピアで女性性器切除を受けたアレガシュ・アゲグネフの証言

FGM/Cの根絶を訴えるアレガシュ・アゲグネフさんと娘。

“アレガシュ・アゲグネフさんにとって、「女性の割礼」は、選択の余地のないものでした。「子どもの時、割礼を受けました。娘も同じく、割礼を受けなければなりませんでした。避けることができなかったんです。」(アゲグネフさん)

しかし、アゲグネフさんは、コミュニティで開かれたFGM/Cについての話し合いに参加してから、FGM/Cが、女性に必要なものであるという考え方をすっかり捨て去りました。

「コミュニティの話し合いに参加してから、FGM/Cの危険性について理解するようになりました。私は変わったのです。」アゲグネフさんはこう話しました。”

エチオピア:FGM/C(女性性器切除)根絶に向けた取り組み

女性性器切除(FGM)のせいで、多くの女の子たちが亡くなり、重度の合併症や後遺症に悩まされている人たちがいます。

また、コロナの影響でサポート活動が停止されている地域もあり、女性性器切除(FGM)が増加する懸念があるとユニセフ協会とUNFPA(国連人口基金)から発表されています。

危険が分かりながらも、止めることができない慣習を終わらせるためには、内外部からの働きかけが重要です。地域社会にひとりでは立ち向かえないことでも、サポートを受けて戦うことができるのは心強いことでしょう。根気強い支援活動を続けることで、少しずつ改善へと向かっていくことを願います。

参考:ユニセフ協会・UNFPAとの共同声明

日本では、この事実を知らない人も多いのではないでしょうか?SDGsをきっかけに、世界の問題へと目を向けてみる機会になると嬉しいです。

ここまでは、深刻な途上国のジェンダー格差について見てきました。

次に先進国や日本での現状に目を向けてみましょう。

先進国や日本のジェンダー平等の現状

先進国や日本にもジェンダー格差は未だに残っているのが現状です。世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2020」を発表。経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータを基に作成された数値で、日本は153か国中121位となっています。先進国の中でも日本はこの問題においては遅れをとっていると言えるでしょう。

まずは、先進国のジェンダー格差について見ていきましょう。

先進国のジェンダー格差現状〜女性研究者の男女比率から見るジェンダー格差〜

先進国においての女性の活躍促進について、女性研究者の割合を文部科学省が発表をしています。

上記のグラフからもわかるように、日本の女性研究者は増加傾向にはありますが、まだまだ他の国より低い水準であると言えます。

日本では、研究者となれば、結婚や妊娠の時期を考慮しなければ、結果を残せない状況が昔から続いています。結婚や育児、介護などで中断してもキャリアアップできるような環境作りが必要となってくる問題です。

参考:理系分野における女性の活躍推進

また、女性研究者の割合が多い英国でも、女性の理工系分野への関心や履行は50%を満たないのが現状です。物理学に至ってはたったの23.7%の女性しか学んでいないのです。物理や数学などへの興味は、幼い頃からの教育も関わる事例です。先進国でさえも、昔からの慣習に乗っ取った女の子と男の子に分けた教育が行われてきたと言えるのではないでしょうか。

日本での現状についても見てみましょう。

自然科学系の大学で女性の占める割合を文部科学省が発表しています。

日本では、次代を担う自然科学系の大学・大学院生の女子学生が少ないことがわかります。

日本でも女性は、出産・育児・介護といったライフイベントとの両立が難しく、上位職につく割合も低いのが現状です。研究職でキャリアアップとなる博士号を取得する女性は多くても32.1%。男性と比べると少ないことがわかります。

女性リーダーの促進やキャリアアップを図ろうと動いている会社もありますが、日本ではまだまだ女性が働きやすい社会とは言い切れないでしょう。

次に、働いている女性がどのように感じているのかを見ていきます。

独立行政法人国立女性教育会館では、入社後5年の男女を追いかけ、キャリア形成と活躍推進に関する調査を行っています。

最近はリーダーシップを取りたくないと考える女性も多いと調査結果が出ています。入社から5年目になると、仕事と家庭の両立が難しいと考える人は全体の69.3%です。さらに、自分の上司や同僚で女性の管理職となる人が少ないのも、管理職を目指さない理由となっています。

上記のアンケート結果でも、リーダーに男性が向いているとは思わない女性は多いですが、女性が管理職となる割合は低いまま。社会全体でこの問題について考える必要がありそうです。

参考:独立行政法人国立女性教育会館

ここまでは、世界各地や日本のジェンダー平等の状況を確認してきました。

ジェンダー平等は、SDGs全体の目標である”全ての人が健康で平等に権利を得る”ためには、必要不可欠です。

女性へのジェンダーの差別を失くすことは、途上国の貧困や教育といった様々な問題を解決する一助となります。さらに、現在働いていない女性たちや無給で働いている女性たちが、正当な賃金を得て働くことで、世界の経済成長にも繋がるのです。

日本でも、女性が社会的に活躍することで、1人当たりのGDP(国内総生産)を5%引き上げることも夢ではないと国際通貨基金(IMF)が発表しています。

参考:国際通貨基金(IMF)女性は日本を救えるか?

それでは、ジェンダー平等を達成するためにどんな問題があるのかを見ていきましょう。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の問題点とは?

ユニセフのSDGs Clubには、以下のように記されています。


“男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう”

日本ユニセフ協会5.ジェンダー平等を実現しよう

世界のジェンダー平等を実現するためには、様々な問題を解決していく必要があります。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するために、起きている問題について詳しく見ていきましょう。

ジェンダーが不平等で起こる問題とは?

発展途上国では、先に紹介した児童婚や女性性器切除(FGM)などが原因となり、ジェンダーで差別が続いています。また、先進国では、古い慣習が抜けきらないことで起こるジェンダー 不平等が問題です。

ジェンダー不平等で起こる問題には、以下のような点が指摘されています。

  • 人身取引や女性・女の子の性的搾取
  • 教育格差
  • 妊娠を望まない女性への配慮・女性の権利妊娠・出産
  • 女性の雇用機会・賃金の不平等・雇用条件
  • 女性の発言力や機会が不十分

ここでは、途上国と先進国に分けてジェンダー平等の問題について考えていきましょう。

途上国での問題

途上国では、幼い子どもが家事手伝いの労力となることや、貧しいがために幼いうちに嫁に出されることで家族を養ってきているという背景があります。

そして、親も家族として長年そのように生活をしてきた経験しかないので、なかなか自由という概念を受け入れ難い状況となっているのが現状です。

◯人身取引や女性・女児の性的搾取について

SDGs目標5のターゲット2には、「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。」とあります。

国際開発センターの報告書には、以下のような記述があります。

“国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、2012年から2014年の間に、106の国・地域で合計 63,251人もの人が人身売買の被害者になったと報告がされています。”

国際開発センター

強制労働を強いられる女性・女の子は割合が多く、被害者17,752人の全体うち71%にも及んでいることが明らかになっているのです。被害者の対象として、縫製工場や農場での強制労働、強制結婚なども入ります。

最も多く占めるのは、強制売春やポルノの製作を始めとする性的搾取で、被害者のうち4人に3人が巻き込まれているのです。

肉体的・精神的にも大きなダメージを受ける深刻な問題です。このような問題の解決は、SDGsの重要な課題のひとつとなっています。

参考:国際開発センター

◯教育格差

2019年にユネスコの発表した資料によると、6歳〜11歳の子どものうち、一生学校に通えない女の子は男の子の2倍となります。

教育格差の原因となる児童婚や人身取引は、多くの子供達、主に女の子や女性の学ぶ機会を奪っています。ユニセフの発表では、開発途上国の3分の1が初等教育で男女平等を実現できていないとあります。学ぶ機会を奪われた女児達は、諦めて家族に従うしかありません。

参考:日本ユニセフ協会

1990年には3人に1人が結婚していたものの、現在では4人に1人となり、世界的には早期結婚の比率が下がっていると言えます。

しかし、世界各地で早期結婚の慣習は根強く残り、その中でも、西・中央アフリカの地域では、41%の女子が18歳となる前に、また、約13%が15歳となる前に結婚を強いられているのが現状です。

最近は、様々な団体の協力により、周りの人が両家の両親を説得するなど、児童婚をさせられた子供を学校に戻すサポートが始まっています。

参考:国際開発センター日本ユニセフ協会

◯妊娠を望まない女性への配慮

国際開発センターの報告資料には、以下のように書かれています。SDGs目標5のターゲット6にあげられている問題です。

“性と生殖に関する健康(SRH)とは、性に関する身体的、精神的、社会的な健康のことであり、「人が安全で満ち足りた性生活を営み、結婚をするかしないか、子どもを産むか産まないか、産むなら何人産むかを自由に決められること」”

引用:国際開発センター

この問題においては、近代的な避妊具が重要な役割を果たしますが、アフリカをはじめとする途上国は、近代的な避妊具を使うことができていません。

出産可能な女性が妊娠を望んでいなくても、妊娠する可能性があるということです。

避妊具の供給問題もありますが、家族やパートナーの同意が得られないことも問題となっています。幼いうちに結婚をした子供たちが赤ん坊を育てながら、家事や労働をしている。このようなことが実際に起きているのです。

◯途上国の雇用機会・賃金の不平等

途上国の女性の多くが、衣料品の製造や露天商、家政婦など賃金の低い仕事についています。また、貧困国では、水汲みや薪集めなどライフラインを保つための時間も必要です。家族の世話や介護に多くの時間を奪われ、雇用の機会を得られていません。

こういった女性の労働を金額に換算すると9兆USドルにも上ると国際開発機関のActionAidが明らかにしています。

参考:国際開発機関のActionAid

次に先進国での問題点を見ていきましょう。

先進国での問題

◯女性の意見を反映させる機会が不十分

政治や経済など公共のあらゆる分野に女性の意見を反映させるためにも、女性の社会への参画は外せません。各国の国会の女性議員数を比べて見てみましょう。

2021年に発表された列国議会同盟(IPU、本部スイス・ジュネーブ)の報告書では、世界の国会議員の女性の占める割合は、25.6%だったと報告がされています。さらに日本は、世界で9.9%と低い水準です。

2018年の世界比率は、23.8%となっており、未だに少ない数値ですが、1990年代に比べたら増加傾向にあり、女性の参画が進んでいると言えます。

国政の参加率については、地域別でも見ていきましょう。

女性の社会への参画が1番進んでいるのは、北欧諸国で44.5%となります。次いでアメリカ諸国が32.2%です。一方アジアは、20.8%とまだまだ低い水準であるのが報告されています。

日本でも国会議員の女性比率は、平成30年2月現在,衆議院10.1%(47人),参議院20.7%(50人)となっており、他の先進国と比べ、増加傾向にあるもののまだまだ少ないのが現状です。

日本の現状を見て、あなたはどのように感じるでしょうか?

もっと頑張って欲しいと思い、応援をしますか?それとも、関わっていないから知らないふりですか?

世界各地でも女性の参画が議題となり、各国で努力が続けられています。日本でも、もっと多くの女性の活躍が期待されているのです。政治の問題として、オリンピックの発言などで、注目を浴びていた問題でもありますね。

若い人からしてみれば、昔の慣習と言ってしまえる問題かもしれませんが、年代や家族でも、考え方が違います。社会全体で見直そうと考えると、簡単ではないのかもしれません。

それでも、社会全体の成長のためにも女性の進出は、必要不可欠な事例なのです。

◯結婚と妊娠に左右される先進国の女性たち

女性が生きていく上で1番大きなライフイベントとなるのが結婚と妊娠です。妊娠を望むか望まないかを、女性自身またはカップルで選ぶことができれば、教育や将来への選択を広げることができ、ジェンダー平等の推進に繋がると期待がされています。

女性が学びたいことを学び、自由に仕事を選べる機会を得るためには、社会が子育てなどのライフイベントを受け入れることが、必要不可欠。女性の社会進出には、先進国でも大きな課題として残されています。

◯なかなか解決しない女性の雇用条件

女性差別による不平等な雇用条件などは日本でも問題となっています。

“2014年のG20首脳会議で、日本は男女の就業率ギャップを25%縮めるとしていますが、これが実現すれば労働力人口は1.4%増加し、GDPは0.7%押し上げられると試算されています。2014年の日本のGDPは4兆8500億ドルであるため、単純計算でGDPが339億ドル押し上げられると考えられます。”

アピステコラム

出産・育児・介護等の両立によって離れなければならない時に、業績配慮や出産後の復帰についての取り組みが遅れ、多くの女性が仕事を退職しているのが現実です。このような問題に取り組み、社会を成長させたい企業では、女性採用を増やすなどの対策が進められています。

また、日本政府は、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも 30%程度となるよう期待すると目標を立てていましたが、未だに目標値に達していない企業がほとんどです。

人材紹介会社 エンワールド・ジャパン株式会社では、254社から調査を行い、以下のように発表しています。

【調査概要】

・「2020年 30%」目標を達成した企業は2割。外資系企業が9ポイント上回る
・ 6割の企業が「女性管理職比率の低さ」を問題視。外資系企業が23ポイント上回る

・女性管理職を増やすために必要なこと第1位は、「女性管理職登用に関する、経営層の意識の変化」

・約5割の企業が「女性管理職を増やすための継続的な取り組みを実施」

・3割の企業が、リモートワーク・在宅勤務が「女性管理職の登用を促進する」と回答

引用:人材紹介会社 エンワールド・ジャパン株式会社

多くの女性社員を抱える企業などでは、女性管理職比率の低さを問題視しています。厚生労働省による令和元年の調べでは、係長以上の女性管理職の割合は、12.2%です。

政府は2030年まで可能な限り早期に目標を達成すると改め、改革を進めています。

参考:厚生労働省雇用均等基本調査

◯2020年以降コロナの影響で浮き彫りになる日本のジェンダー不平等

2020年から始まったコロナの影響で、多くのお店が休業を余儀なくされ、働いている人たちにも大きな影響を与えています。

総務省の労働力調査によると、2回目の緊急事態宣言が出されていた、2020年7月から8月の就労者の数は、男性の27万人の減少に対し、女性は48万人の減少しているのです。

また、日本でのひとり親家庭への影響は著しく、親子で食費を切り詰めるなどをしてなんとか凌いでいるという方も。


厚生労働省の調査によると、

”母子のみにより構成される母子世帯数は約75万世帯、父子のみにより構成される父子世帯数は約8万世帯(平成27年国勢調査)”

引用:厚生労働省

また、父子家庭で就労している男性のほとんどが正規の職員であるのに対し、母子家庭で就労している女性の43.8%が「パート・アルバイト」での就業です。

この現状を見れば、多くの母親たちが、コロナの影響で職を失ったり、給料が減少していると言わざるをえないのではないでしょうか。

読売新聞の記事に、以下のような内容が載っています。

“3年前から現在の仕事につき、収入が安定しつつあった中でコロナ禍に見舞われた。土曜や夜間の残業がなくなり、今年5月以降の手取り月収は12万円余りと昨年の27万円から半減した。このため食費を月2万円に削減。長女からは「大変だけど2人で頑張ろう」と声をかけられた。”

引用:読売新聞オンライン

日本でのジェンダー不平等の対応がコロナの影響でさらに厳しいものへと変化していっているのです。

参考:読売新聞オンライン

ジェンダー不平等の解決策は?

ジェンダー平等は基本的人権のひとつであり、実現のためには、貧困をなくし全ての子供の健康・教育・福祉・保護の増進などの健全な社会の構築が必要です。そのためには、組織面や事業面での取り組みが欠かせません。

世界で行われているジェンダー不平等を解決するための対策
  • 開発途上国における避妊具へのアクセス向上
  • ジェンダーの格差を生み出す要因の排除
  • 女性の金融サービスへのアクセスのしやすさ
  • 雇用条件や待遇などの見直し
  • セクハラへの対策
  • 女性の管理職への起用

企業や団体では、開発途上国での避妊具のアクセスを容易にする事業を展開したり、学校教育を受けることができるように支援したりと様々な取り組みが行われています。

参考:国際開発センター国際連合広報センター

また、技術革新により、金融サービスへのアクセスが向上していることも話題に。世界銀行は以下のように発表しています。

“ケニアやフィリピン、タンザニアといった国々で低所得層のための金融サービス・アクセス拡大に重要な役割を果たしてきた。ブラジルでは、技術を駆使した「コルレス・バンキング」の普及により、遠隔地に住む人々への金融アクセスが拡大した。”

引用:世界銀行

世界では、インターネット・バンキングを、低所得者や女性、地方にいる人でも銀行を利用できるよう活用しています。このような技術開発も解決策のひとつとなっているのです。

次に先進国や日本での解決策を見ていきましょう。

先進国や日本では、各企業がジェンダー不平等に目を向けて、女性の雇用促進や、組織内の体制・構造の改善が進められています。女性が社会進出しやすくなるように、子育てをしながら働くことができる仕組み作りなどが行われているのです。

もちろん子育ては、男性にも責任があること。男性・女性どちらが子どもの世話をしても、誰にも文句の言われない世の中になって欲しいと改革が進められています。

最後に、コロナへの対策についても目を向けてみましょう。

女性の雇用に大きな影響を及ぼしている2020年以降のコロナの影響に対して、専用の相談窓口の設置や給付金の配布など、政府では様々な支援活動を行っています。しかし、支援策を知らない人も多く、まだまだ全ての人に行き渡っているとは言えない状況です。

これらの問題に対する取り組みが進展することで、多くの女性への手助けとなると良いですね。

それでは、ジェンダー平等を実現するために、実際にどのような取り組みが行われているかを見てみましょう。

「ジェンダー平等を実現しよう」に向けた取り組み事例・対策

各国の企業や団体では、ジェンダー平等を実現するために積極的な活動をしています。日本での取り組み事例を見ていきましょう。

日本の企業/団体の事例

◯厚生労働省 コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい~

引用:厚生労働省Youtube

厚生労働省では、困難な問題を抱える女性に支援が行き渡るように、取り組みを進めています。発信力のある人などを交えて議論する場「コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい~」を開催し、Youtubeにて公開しているのです。

また、内閣府の男女共同参画局では、コロナの影響について調査を実施し、結果に基づいて政府への提言を行っています。政府は、これらの各問題についての予算を拡大し、各支援体制の強化や実施への取り組みを進めているところです。

参考:厚生労働省・男女共同参画局 コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会対応状況

◯朝日新聞社の取り組み〜朝日新聞社ジェンダー平等宣言〜

朝日新聞社では、女性応援プロジェクトとして「朝日新聞社ジェンダー平等宣言」が公表されました。

日本では、リーダーは男性、家事と育児は女性という意識が強く、メディアでさえも無意識の内に差別をしていることがあります。2016年より女性の多様な生き方に寄り添った情報発信を続け、2017年からは3月8日の国際女性デーを中心としたジェンダー平等について報道をしています。

朝日新聞社の社内ヒアリングでは、「女性にゲタをはかせるのか」という声があった一方で、「男性はこれまでゲタをはかされてきた。もう脱いでもいいんだ」という意見が出たそうです。

男性がリーダーシップを取らないといけない!と思い込んでいるのは全員ということですね。朝日新聞社では、これからも様々な報道や社内での取り組みを進めていくと発表しています。

参考:朝日新聞社

◯株式会社Kanatta〜すべての女性と女児のエンパワーメントを図るの実現に貢献〜

株式会社Kanattaの事業の一環として「ドローンジョブズ」があります。女性の視点で捉えたドローンの魅力を発信したり、企業のPR動画を撮ったりと女性のみでドローンを仕事にしているのです。

それ以外にも、女性の夢を応援するために「Kanatta salon」も開催など様々な取り組みが行われています。まだまだ男性社会のメディア部門で活躍する女性のドローン集団。これからどんな活躍をみ見せてくれるのか楽しみです。

参考:株式会社Kanatta

◯株式会社マツモトキヨシホールディングスの取り組み

マツモトキヨシでは、多彩なキャリアの実現に向けて様々な取り組みが進められています。その中のひとつが女性活躍の推進です。採用や継続就職、働き方などに目を向けて、明日のマツモトキヨシを担う人材づくりに力を入れています。

女性管理職比率や多彩なキャリアコースなども評価され、厚生省から「えるぼし」認定(女性の活躍推進している優良企業に認定する制度)を受けているマツモトキヨシ。女性取締役の登用などにも取り組んでいます。

参考:株式会社マツモトキヨシホールディングス

◯公益財団法人 ジョイセフの活動

ジョイセフは、基本的人権やジェンダーの平等と女性のエンパワーメントに取り組んでいる団体です。

“ジョイセフの使命と目指すこと

ジョイセフは、すべての人びとが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRH/R)をはじめ、自らの健康を享受し、尊厳と平等のもとに自己実現できる世界をめざします。”

引用:公益財団法人 ジョイセフ

ミャンマーで、家族計画・妊産婦保健サービス利用促進プロジェクトを推進したり、ザンビアで、アフリカの妊産婦と女性の命を守る、持続可能なコミュニティ主体の保健推進プログラムを進めたりと、これまでも様々な活動をしています。

参考:公益財団法人 ジョイセフすべてのプロジェクト

日本の戦後の経験を途上国に活かすために発足したジョイセフ。日本でも中絶から家族計画への計画などが身を結び、人口妊娠中絶数の削減などに貢献してきた団体です。これからも各地への支援を続けていくでしょう。

女性自身が主体となって、様々な問題に目を向けることがジェンダー平等へと近づいていくことができるのではないでしょうか?

それでは次に世界の企業/団体の事例を見ていきましょう。

世界の企業/団体の事例

◯アップル社の取り組み〜ジェンダーニュートラルな絵文字〜

ジェンダーニュートラルとは

女性や男性といったジェンダーによる役割認識に囚われることのない考え方を示します。

アップル社は、何気なく使うメッセージのイラストに着目し、ジェンダーニュートラルな絵文字を2019年の10月から追加をしました。

誰もが気に留めずに使っていた絵文字ですが、確かに女性と男性を分けている事例のひとつです。性別や肌の色など差別の対象となるものを極力少なくできるように、工夫されています。自分の好みで絵文字を作成することも可能です。

見た目の性別とは違うと感じる人もいる中、日常的に使う絵文字にも配慮し、ストレスを感じることなく過ごせるように作られました。

肌の色や服装、髪型などを自分自身で組み合わせることもできます。自分を表現するアバターだからこそ自由に選びたいですね。

参考:アップル社

◯世界規模のAmazonの取り組み〜有志グループWoman@amazon〜

Amazonでは、世界各地の社員たちが国際女性デーを祝い活動をしています。その中心となるのが、有志で作られたWoman@amazonのグループです。グループには男性も属し、女性の活躍を推進する活動が続けられています。

例えば、子育てをしながらも働きやすい職場環境にするため、搾乳室の設置や育休制度の充実を図っています。Amazonでは、育休を取った子育てのプロがたくさんおり、育児や家事、仕事への復帰などの相談も同僚とでき、安心して子育てができると、Amazonのスタッフのブログでも公開されています。

さらに、女性が自分自身で自信を持ってキャリアアップできるよう、「できない」と思ってしまう意識改革のために、精神面でのトレーニングやサポートなどソフト面でもサポートを行っています。

参考:Amazonブログ

また、国際女性デーに合わせて、人生を切り開いてきた女性に話を聞くオンラインイベントなどを開催。「活躍する女性たちと考える 誰もが輝ける日本の未来とは 」という題目のパネルディスカッションを下記のページから見ることができます。

Amazonブログ:活躍する女性たちと考える 誰もが輝ける日本の未来とは 

Amazonのように、女性の社会進出のために社内改革を行ってくれる会社が増えると良いですね。このような取り組みは、働いている女性の励みにもなるでしょう。

世界規模の企業が様々な取り組みを行っています。興味のある企業を調べてみると、知らなかった企業の側面を見ることができて面白いですよ。

◯EUの取り組み〜男女平等へ向けた戦略的取り組み2016-2019〜

EU(欧州連合)では、2015年12月に2020年までに女性の雇用率を上げて、男女差をなくそうという目標を目指すための文書を発表しています。さらに男女平等を推進するために、予算としてEUは61億7,000万ユーロを拠出。

日本に比べても、女性の雇用が進むヨーロッパ各地。加盟国全てで同じ取り組みは打てないので、各国それぞれが自国にあった政策を行っています。

例えばドイツでは、ジェンダー平等法制などの整備とともに、1日8時間で基本的には残業のない働き方を実現しています。2012年にすでに女性の管理職比率は29.9%となっています。

またフランスでは、育児休暇のほか、出産休業や病児看護休暇、父親休暇などもとれる両立支援制度があるのです。父親休暇は出産後に11日間取得できる制度。子供が生まれた瞬間から親子で過ごせる時間を大切にできる素晴らしい制度ですね。

このように、EU各国では、育児や介護を行っている人のために、労働形態を柔軟にしたり、出産・育児休暇を取りやすいようにしたりとワークライフバランスを取れるよう働きかけています。

参考:ヨーロピアンマガジン

まだまだジェンダー平等とは言い難い日本やアジア諸国でも、同じような戦略への取り組みが始まると良いですね。

世界でジェンダー平等を実現させるために、私たちにできること

世界のジェンダー平等問題は、身近な問題ではないのかもしれません。日本では、児童婚や女性性器切除(FGM)について知らない方も多いでしょう。

実際に現地に行ってボランティアすることは難しくても、このような問題にまずは目を向け、SNSで情報を発信することはすぐにできます。

また、あなたの数千円の寄付がひとりの女の子の一生を助けることとなるかもしれません。たったひとりの行動が大きな波へと繋がるのです。

私たちにできることをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

NGO・NPO団体への寄付をしよう

ジェンダー問題に取り組んでいるNGO・NPO団体への寄付をすることで、間接的に支援をすることができます。

例えば、日本ユニセフ協会では、子どもの権利をしっかりと確保することに力を入れています。結婚や労働によって子供の権利を剥奪された子どもたちへのサポートが行われているのです。

また、国連ウィメン日本協会は、難民の女性自立支援プログラムなどを推進しています。国際女性デーの発信など、問題についての支援や広報、募金活動を行なっています。

日本にも拠点がある団体も多く、日本語でもしっかりと資料を確認できます。貧困や教育、保健サービスなどとも深く関わりある問題です。上記以外にも、これらの問題に取り組んでいる団体に支援するのも良いでしょう。

寄付や支援を行うには、毎月定額やその都度で寄付する方法があります。ほとんどの団体が一口1,000円から寄付することが可能です。支援プログラムを選んだり、地域を指定したりして支援することもできます。

あなたの寄付が、学ぶためのノートやペンとなったり、女の子が学校に通えるようになったりと、現地での手助けとなるのです。

ボランティアをしてみよう

コロナの影響で海外ボランティアは難しくなっていますが、日本国内のイベントの手伝いや募金箱の設置などのボランティアもあります。

国連ウィメン日本協会のように、資料を分けたり発送したりなど運営のサポートを募集している団体も。国内にいてもできることはあります。どのようなボランティアが行われているか調べてみましょう。

家族で話し合おう

まずは、ジェンダーとは何か?と家族で話し合ってみることから始めてみましょう。

あなたの家族では、

  • 掃除や洗濯、食事の用意は誰がどのくらい行っていますか?
  • 家事の担当するのは誰だと認識していますか?
  • 女性・男性の役割についてどんな固定概念がありますか?

このような問題を試しに書き出してみると、改めてジェンダーについて見直すことができます。家族のバランスを良くして、新しい家族の形を実現していきたいですね。

また、育児についても話し合ってみましょう。育児はまだまだ女性の負担が多いです。「お互いがどのように支え合えるのか」など、改めて話してみることをおすすめします。

日本でも、昔からの慣習で、母親が家事全般を担っています。その中で育ってきた私たちにとって、それは当たり前のことかもしれません。しかし、視点を変えてみれば、それは女性の権利を奪っていることの原因ともなるのです。

現代社会においては、女性の社会進出も望まれていることを考え、今までの視点から一歩踏み出して、この問題に触れていきたいですね。

日本の現状について目を向けてみよう

日本が男女が平等の世の中に近づくためにも、まずは日本の現状に目を向けてみるのも良いでしょう。

内閣府には、男女共同参画を推進する「男女共同参画局」があり、男女雇用機会の調査や、女性の活躍を推進する政策を立てるなどを行っています。

また、各地域にも男女共同参画センターがあり、女性の活躍をサポートしているのです。センターでは、女性の起業をサポートするセミナーを開催したり、お金や経営についての相談会を主催しています。起業家が実際にイベントやセミナーを開催することもできるのです。

男女共同参画局から、「ひとりひとりが幸せな社会のために」という資料が公開されています。わかりやすく世界の状況と日本の取り組みなどをまとめてくれているので、一度目を通してみるのをおすすめします。

会社がどの程度女性のキャリアアップに意識を向けてくれているのか、仕事を選ぶときの基準にもなりますね。情報発信や意識改革は、SNSを利用してできるようにもなりました。ひとりひとりの意識が将来へと繋がっているのではないでしょうか。

コロナの影響化でできる女性への支援

日本でも、困窮している女性への支援が行われています。生理用品を手に入れられない「生理の貧困」や、食料の配布などがテレビでも取り上げられているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

各自治体がSNSなどで、生理用品の寄付などを呼びかけることもあります。まずは自分の住んでいる自治体をチェックしてみるのも良いでしょう。また、新宿ごはんプラスセカンドハーベストなど食料を配布している支援団体へのボランティアや寄付を行うこともできますよね。

コロナの影響は1番身近な大きな問題です。ひとりひとりができることを探してみるきっかけとなるのではないでしょうか?

まとめ

2030年の目標に向けて、世界各国の国際機関やNGO・NPO団体、企業などがSDGs目標5に取り組んでいます。SDGs目標5が達成すれば、世界的な経済成長が見込めるばかりでなく、女性が自由に学び、将来を選べる社会へと近づきます。

世界でジェンダー平等が必要になる主な理由としては、児童婚や女性性器切除(FGM)など、女性が差別される慣習が残っていることが挙げられます。さらに、人身取引や教育格差、雇用機会・賃金の不平等などの問題にも及びます。

各国では、この問題を解決するべく、努力が続けられています。

【途上国で行われている取り組み】
  • 途上国での児童婚や女性性器切除(FGM)を辞めさせるための啓発活動やサポート
  • 政府による法律の改正や投資
  • 国から企業への働きかけ(女性の雇用機会・賃金の改善)
  • 貧困地域へのサポート(学校設立や電気の供給など)

これらの取り組みによって、途上国の経済成長や女性への差別が解消されることを期待されているのです。

また、先進国や日本でもジェンダー平等はまだまだ問題として残っています。

【先進国や日本で行われている取り組み】
  • 女性の雇用促進や雇用形態の向上
  • 育休や復職についての社内待遇の改善
  • ジェンダー平等についての発信
  • 女性のエンパワーメントを発揮できる仕組み作り
  • コロナの影響によるジェンダー不平等への支援

“女の子だから、男の子だから”という意識が強い日本。家事は女性がやると決められているわけではありませんが、多くの家族がそのように過ごしてきているのも現状です。自分の家で母親が家事を担ってきているのを見ながら育ってきている子供がほとんどですよね。

そんな中で個人ができることは些細なことかもしれません。しかし、1歩ずつ進めることはできるはずです。また、コロナの影響で浮き彫りになったジェンダー不平等についても、目を向けてみる必要があります。

SDGs目標5は、ジェンダーに関係なく、誰しもが平等な機会を得て、自分の能力を発揮できる社会を作ることを目標としています。女性が現状を諦めることなく、次なる未来へと進んでいけるよう、手助けできることを探していきたいですね。